短歌を含めた文学全般に通じる話題も多い。
物語論では一般的に、絶対的で固定的な意味はないと考える。この場合、テクストと読者との相互作用によってその都度意味が発生することになる。
物語においては、詳しく説明しすぎないこともテクニックの一つである。詳しく説明されれば余韻が出るはずはない。語られない部分を読者が様々に補うように仕向けることによって、情感がでるのである。
一般に、文学的な小説では、「説明はせずに描写せよ」と言う。「かわいい」ことを書くのに、「かわいい」と言うのではなくて、それを具体的に、出来事の中で表現していくのが物語化することである。
どれも、短歌の入門書に書いてあってもおかしくない内容である。
こうした話を読むことは、おそらく短歌表現にとってもプラスになるに違いない。何が文学全般に共通する点で、何が短歌に特徴的な点であるかといった区別がはっきりするからである。