旅が好きで食べることが好きな夫婦が、「旅を仕事にできないか?」と考えて開業した「旅の食堂ととら亭」。世界50か国以上を旅して出会った料理を再現したメニューを提供している。
そんな夫婦がトルコのマントゥと韓国のマンドゥの名前が似ていることから興味を持ったのがギョーザであった。トルコ、中国、ドイツ、アゼルバイジャン、ジョージア、韓国、ポーランド、スロバキア、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギスと、ギョーザの発祥と伝播のルートを求めての旅は続く。
そんな中で、思いがけない歴史に触れたりもする。カザフスタンの市場でキムチや海苔巻などが売られているのを見て、著者は次のように述べる。
なぜカザフスタンに朝鮮系の移民がたくさんいるのか? 彼、彼女たちの祖先の多くは日本の植民地支配を逃れ、ロシア極東部に移住してきた人々なのです。その後、スターリン体制下でカザフスタンやウズベキスタンに強制移住させられ(・・・)
日本のギョーザが満州からの引揚者によって広まったという話もそうだが、食文化の歴史の奥深さを感じさせられる。
2017年3月3日、東海教育研究所、1800円。