2017年11月03日

ヘリオトロープふたたび


以前、伊藤一彦の歌に出てくる「ヘリオトロープ」についてブログに書いたことがある。
http://matsutanka.seesaa.net/article/403990871.html

ヘリオトロープは別名「香水草」とも呼ばれ、明治期に日本で初めて輸入された香水としても知られている。明治から昭和にかけての文芸作品にもよく登場する。

 小野さんの手巾(ハンケチ)には時々ヘリオトロープの香(におい)が
 する。
                 夏目漱石『虞美人草』

 夕暮はヘリオトロウプ、
 そことなく南かぜふく
 やはらかに髪かきわけてふりそそぐ香料のごと滲(し)みるゆめかも
                  北原白秋『桐の花』

 切れ切れになって飛んでは来るけれど、まるですずらんやヘリオトロ
 ープのいいかおりさえするんだろう、その音がだよ。
                  宮沢賢治「黄いろのトマト」

先日、『平野萬里全歌集』を読んでいたところ、次のような歌があった。

 かしこかとヘリオトロオプの煙立つ三階の窓見上ぐる夕
                  「我妹子」(明41〜43)

ここではヘリオトロープの「煙」が詠まれているのだが、これはどういうことだろう。匂いのことを「煙」と言っているのか。あるいは、当時お香か何かのようにヘリオトロープの良い匂いがする煙でもあったのだろうか。

posted by 松村正直 at 17:25| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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