2017年09月20日

「日本近代文学館」館報第279号


「日本近代文学館」の館報第279号が届いた。
http://www.bungakukan.or.jp/cat-whatsnew/9556/

「館蔵資料から=未発表資料紹介 佐佐木信綱宛書簡」を毎号楽しみにしているのだが、今号には北原白秋の信綱宛書簡が2点紹介されていた。

そのうち1点は昭和14年12月31日消印のもので、「啓上 御懇書ならびに筆墨忝く拝受かへつて恐縮に奉存候今は御祝のおしるしまでいささかのもの差出申候につき御笑納たまはり度存候 夢殿につき御厚情難有く御礼申上候」とある。

信綱からもらった手紙のお礼と、祝いの品を送ったこと、そして前月に白秋が刊行した歌集『夢殿』に対する信綱の好意へのお礼という内容だ。

白秋と信綱の関係については、昭和12年の「愛国行進曲」の歌詞の審査の場で喧嘩をして終生和解しなかったという伝説がある。

これについては、既に渡英子が「信綱と白秋―喧嘩顛末記」(「佐佐木信綱研究」第3號)で誤りを正している。また、マンガ「月に吠えらんねえ」の作者清家雪子のブログにも「白秋VS信綱〜解決編」(2016年11月24日)という詳しい記事が載っている。

今回の館報に載った昭和14年の白秋の書簡もまた、先の伝説の誤りを裏付ける証拠の一つと言って良いだろう。

posted by 松村正直 at 18:25| Comment(0) | 短歌誌・同人誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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