2017年09月05日

確率を考える(その1)


佐藤佐太郎に関する本を読んでいて、自分なりの発見があった。

つるし置く塩鱒ありて暑き日を黄のしづくまれに滴るあはれ
                 佐藤佐太郎『立房』
     (三句目はのちに「暑きひる」と改作)

「塩鱒」は保存用に塩漬けした鱒のことで、新巻鮭のように縄などで括って吊るしてあるのだろう。そこから、黄色っぽい脂が滴り落ちるのである。粘り気のある脂の感じや、それがたまに滴となって落ちる様子が、実によく見えてきて、以前から好きな歌である。

この歌は内容だけでなく、調べも良い。どこが良いのかと考えていて、あることに気が付いた。

つるおく/おますりて/ひを/づくまれに/たたるあはれ

こうして平仮名にしてみるとよくわかるのだが、二句以下の頭の音「し」「あ」「き」「し」が、その前の句にそれぞれ含まれているのである。これが、一首を読んだ時の心地良さにつながっているのだと思う。

posted by 松村正直 at 07:08| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも読ませていただいてます。
遅れながら、お誕生日おめでとうございます。
どらえもんの誕生日も、「鱒」という感じも、知りませんでした。
短歌をかじって、自分の無知さ加減にあきれています。
先月のNHK短歌の「人質」のお歌、良いですね。
人質≒履歴書っておもしろいと思いました。

この調べについても、勉強になりました。
いろいろ学ぶことが多く、感謝しております。
ありがとうございました<(_ _)>
またお邪魔いたします。

ご自愛とご活躍を、期待しております!
Posted by かつらがわ at 2017年09月06日 13:44
「確立を考える」は続きがあります。
単なる思い付きを書き綴っていますので、あまり真に受けないで下さいね。
Posted by 松村正直 at 2017年09月06日 15:30
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