今日は河野裕子さんの亡くなった日。
もう7年になるのか。
今死ねば今が晩年 あごの無き鵙のよこがほ西日に並ぶ
やはらかな縫ひ目見ゆると思ふまでこの人の無言心地よきなり
アメンボの私の脚がまぶしいから 土曜の水面は曇つてゐてほしい
欠詠の若きらをもはや頼まざり私にはもう時間がない
先の世といふはあらずよ親とより長く暮らしし君が髪刈る
歌集『家』(2000年)は、僕が初めて読んだ河野さんの歌集である。
1995年から1999年までの歌が収められている。
歌集の最初のページにメモが挟まっていて、2000年1月21日に「『家』を読む会」という勉強会をしたことがわかる。参加者は、なみの亜子、川本千栄、深尾和彦、澤村斉美、西之原一貴、松村正直の7名。
「全体の感想」として
・松村・・・意外に上手い
上手い歌(上手さ)、散文的な歌(思い)
残り時間、晩年意識
家 子供が出ていき自分が残る タイトル
と書かれている。自分の先生の歌に対して「意外に上手い」とは、何て失礼なやつだろう。この時はまだ結婚前で、大分に住んでいて、29歳だった。