三人で沖縄の街歩きをしながら、地元の人しか知らないような名所や穴場を紹介するガイドブック。「那覇編」「普天間編」「コザ編」「金武・辺野古編」「首里編」という構成になっている。タイトルに「R18」とあるが、別に怪しげな本ではなく、いたって真面目な内容である。
普久原 そば粉を使っていないのに「そば」と称しているものだから、復帰後にまぎらわしい名称ということで公正取引上の問題になったことがあるそうですね。
普久原 武田五一の設計した戦前の旧那覇市庁舎の建っていた街路は、旧那覇市でも一番の繁華街だったのですが、実は、その街路にもすずらん灯がともっていました。
藤井 沖縄では酒税軽減措置が復帰特別措置法で定められています。酒税は泡盛で三五%、ビールで二〇%軽減されているんですね。
仲村 基地埋め立てを巡って問題になっている海側を見るのも重要ですが、こういう地元の人々の生活空間の成り立ちも見た方がいいと思う。
仲村 首里と那覇は点で考えるのではなくて、線として考えると、歴史的な意味が浮き上がって見えてきます。
琉球王朝時代の話に加えて、特飲街(特殊飲食街)やAサインバー(米軍公認の飲食店・風俗店)などの痕跡も詳しく紹介されており、沖縄の歴史が重層的に浮かび上がってくる。
世代も出自(大阪生まれのウチナーンチュ二世、愛知生まれの沖縄好き、沖縄生まれ沖縄育ち)も専門もバラバラな三人だからこそ、面白い話になるのだろう。それぞれの持ち味やものの見方が見事なバランスを生み出している一冊だ。
2016年5月8日、亜紀書房、1600円。