2017年06月15日

羽生善治、NHKスペシャル取材班著 『人工知能の核心』


2016年5月放映のNHKスペシャル「天使か悪魔か 羽生善治人 工知能を探る」の取材を通じて得た知見をもとに、人工知能の可能性と課題、今後の人間社会のあり方について考察した一冊。

チェス、囲碁、将棋などにおいて、既に人工知能は人間の実力を大きく上回っている。だから、この本でも「人工知能vs人間」の勝負の話はほとんど出てこない。

話はもっと先に進んでいる。「コンピュータ将棋と人間の棋士の間で起きている様々な事象が、今後、人工知能が社会で応用されていくときに想定される事態を先取りしている」という認識に立って、この本は書かれているのだ。

社会のなかで多くの人々が人工知能の出した結果にいかに納得するか、というテーマもあると思います。
人間らしい安心感や安定感のある「美意識」を人工知能が持つのは、社会に受け入れられていく上で大事なことだと考えています。

確かに、「効率」や「正解」「最適解」といった観点だけではなく、「納得」「安心感」といった要素が人間にとっては大事なものなのだろう。「人工知能について知ることは、人間について深く知ることでもあるのかもしれません」という指摘は、まさにその通りだと思った。

2017年3月10日、NHK出版新書、780円。
posted by 松村正直 at 07:54| Comment(2) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「眠りについて」拝読。以前、「肉について」でびっくりしたことを思い出しました。テーマ1つで色んなシーンがそれぞれに見えて豊かで。今回も何度も読み返しました。著莪の花の景色、美しかったです。ありがとうございました。
Posted by 豚肉を揚げる音 at 2017年06月15日 14:38
お読みいただき、ありがとうございます。
これで20首×8回の連載が終了です。
毎回「○○について」というタイトルで、
歌を詠んでみました。
Posted by 松村正直 at 2017年06月15日 23:39
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