2017年03月22日

坂田博義

勉強会に参加するために、久しぶりに『坂田博義歌集』を読み直した。いろいろと新たな発見があったのだが、そのうち2つ書いておく。

一つは「サハリン」の歌。

秋ははや至りておらんサハリンのかたに海霧また深くなる

北海道に生まれ育った人にとって、サハリンは割と身近な存在であったのだろう。しかも坂田は戦前の昭和12年生まれ。坂田が8歳の時まで樺太は日本の領土であったのだ。

もう一つは縊死の歌である。

縊れ死ぬユダのなげきに膚接して爪先だちて劇を観ている
獣肉を吊るせる大鉤をみていしが縊れんとする吾にあらねば

坂田が24歳で縊死した事実を知っていて読むと、何か予感のようにも思われる歌である。

もちろん、それは結果論に過ぎない。けれども、歌が予言として作用することも確かにあるような気がするのだ。
posted by 松村正直 at 14:04| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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