村上春樹の新作『騎士団長殺し』が発売になった日に、なぜか『羊をめぐる冒険』を読んでいる。
急ぐ読書でもないので、のんびりと5日くらいかけて上巻を読み終えた。小説を読むのも久しぶりな気がする。
面白い比喩がたくさん出てくる。これが無かったら分量は半分くらいになってしまうのではないかしら。
鳩時計みたいに正確だった。
その巨大な車はビルの玄関前の路上に潜水艦みたいに浮かんでいた。
つつましい一家ならボンネットの中で暮せそうなくらい巨大な車だった。
何から何まで新しいトランプのカードを一枚ずつめくる程度の音しかしなかった。
耳栓をつけて湖の底に座っているような静けさだった。
まるで金だらいに乗って水銀の湖面を滑っているような気がした。
115ページ〜116ページだけでも、ざっとこんな感じだ。
途中、芦屋がモデルとなっている街の河口や旧防波堤の光景が描かれていて、以前、高安国世ツアーで行った時のことを思い出したりした。
2004年11月14日第1刷、2014年3月3日第28刷、講談社文庫、500円。
松村さんのブログをちょっと前読み返していたら、高安國世さんが『風の歌を聴け』を読んでいた、という記事があり、ほんとにびっくりしました。時代が重なってるとは思ってなかったので。
高安さん、文体が良いってほめてありましたね。幾つになられても新しいものを読んで、す〜っと吸収されるかたなんだと思いました。
翻訳作業とか芦屋とかミニミニ共通点ですね。
高安国世が読んだのも『羊をめぐる冒険』ではないかな。
「塔」1983年7月号に書いてます。
http://matsutanka.seesaa.net/article/387138714.html
亡くなる前年に読んでいますからね、
本当に「幾つになられても」という感じです。