一般社会において(適度な)謙遜は美徳である。
けれども、短歌の世界ではどうだろう。
歌会の場などでよく、「私は初心者なので・・・」とか、「たぶん間違ってると思うんですけど・・・」などと発言を始める人がいる。本人は謙遜のつもりなのだろうけれど、聞いていて良い気はしない。
歌の前では誰もが平等。
これが基本だと思う。
何十年短歌をやってきた人も、昨日短歌を始めたばかりの人も、歌の前では平等だ。手ぶらで、自分の持っている力だけで、その歌をどのように読むか。それが問われている。
キャリアの長い人が「私は五十年歌をやってきたので(だから、私の言うことを聞け)」と言うのが嫌なのと同じで、「私は初心者なので(大目に見て下さい)」というのも嫌である。それはあなたの話であって、歌の話ではない。
他にも、自作を批評された後などに、「自分でもここが問題だとわかってたんですよ」とか「時間がなくてパッと出しちゃって・・・」などという人も多い。これも聞いていて良い気はしない。
自分なりにベストな歌を出さなければ、そもそも話にならない。言い訳は不要。一体何に向って言い訳をしているの? 誰に何を言われても、それが自分の今の実力と思って真摯に受け止めるしかないのだ。
「私の歌なんか・・・」「ちゃんと勉強ができてなくて・・・」
そういうのも御免だ。
作者自身が良いと思っていない歌を、他人が良いと思うはずがない。自分の子どもと同じで、どんなに出来が悪くたって可愛がってあげないと。勉強が足りないと思ったら、自分で勉強したらいいだけの話。
歌の前では、謙遜も言い訳も要らない。
読めて良かった記事でした。
私は自分の内側が豊かに広がるのは「午前3時を過ぎて」のあとがきです。また読み返しました。
書き方がついきつくなってしまいますが、
短歌は好きで楽しんでやることが基本です。