副題は「キリシタン弾圧の歴史」。
長崎に生まれキリシタン研究で知られる著者が、江戸時代の約250年にわたる禁教と弾圧、そしてその後の信徒発見に至る歴史を描いた本。
昭和32年に角川新書で刊行され、その後、昭和45年に増補改訂され角川選書の一冊となっている。古書店で入手。
長崎、平戸、大村領、有馬領、五島など、長崎県各地における殉教の様子が詳細に記されている。その中には、日本二十六聖人や、遣欧少年使節の一人中浦ジュリアンなどのほか、数多くの無名の人々の名前があり、犠牲者の多さや信仰の強さに驚かされる。
この人たちは、ただ一言信仰を捨てる、といえば助かることができたのだが、キリシタンの信仰こそ、真の救いの道、唯一の幸福の道、また神に対する人間の最大の義務であることを確信し、その信仰に間違いがないことを証明するために、喜んで生命を捨てた。
こうした見方をする著者は、棄教者・背教者に対しては実に厳しい。
人間の弱さのゆえに、この責め苦に堪えられないで、信仰を捨てた人もあった。後に沢野忠庵と呼ばれたクリストゥアン・フェレイラもその一人であった。穴づりの苦しさに堪えかねたのである。しかし背教によって肉体の生命はながらえたが、良心の呵責は、彼らの生活を幸せなものにはしなかったと思う。
これは確かに正論であろう。本書で殉教者の感動的な行為や言葉を読めば読むほど、確かにそうだとの思いは強まっていく。
けれども、殉教者への賛美の裏側にこうした棄教者への軽侮が伴うというのは、何とも言えず悲しいことではないだろうか。
1970年3月30日初版、1980年6月30日4版。
角川選書、760円。
・永田和宏『新版 作歌のヒント』(NHK出版)
・俵万智『短歌をよむ』(岩波新書)
・栗木京子『短歌をつくろう』(岩波ジュニア新書)
・栗木京子『短歌を楽しむ』(岩波ジュニア新書)
・岡井隆『今はじめる人のための短歌入門』 (角川ソフィア文庫)
・穂村弘『短歌という爆弾』(小学館文庫)
短歌入門書と呼ばれる本は、全くの初心者の時に読むよりも、何年か短歌をやってから読んだ方が得られるものが多いと思います。
おすすめの本いくつかは持っていますが、そうでないのもあり、さっそく探します。何年か歌を作った方が入門書が分かりやすくなる、というのは、よく分かります。
係り結びでないのに連体形で終わるのは、文法間違いではない、と最近知りました。かかれてない主語はわたくしである、ととられるらしいと気づき、納得いかないこともあります。
これからもちょくちょくお邪魔させて下さい。