副題は「長崎、隠れキリシタンの里へ!」。
聖地巡礼シリーズ第3弾。
「長崎市中心部」「長崎市出津(しつ)・黒崎地区」「京都・大阪」と3日間にわたってキリシタン関連の場所を訪れた旅の記録。
キリスト教の布教や受容、弾圧などの歴史、さらには信仰や身体、グローバリズムの問題など、様々な話題をめぐって示唆に富む話が展開する。
内田 日本のアメリカに対するアンビバレントな感情って、社会心理学の教科書に出したいぐらいの典型的な症候ですよ。
内田 殉教することで列聖されて、末永く人々の崇敬の対象となるっていう想像はたぶん強烈な快感をもたらすものなんでしょうね。
釈 コアに強い宗教性があって、周りにそれを取り巻く芸能やアートがあって、その外側にさらにお土産などを売る観光施設がある。強い宗教施設があるところはその三重構造があるんですが(…)
釈 世界にブッダの遺骨とされているものはたくさんあって、全部合わせると巨大な人間になっちゃうそうです。
内田 「お国自慢」も「お国なまり」も「国境(くにざかい)」も、日本語の「国」の使い方の多くは幕藩体制における藩のことです。
長崎で処刑された二十六聖人は、もともと京都や大阪で捕まった人たちである。耳を削ぎ落とされ、長崎まで徒歩で連行された彼らの姿を想像すると胸が痛くなる。
長崎を案内した地元の下妻みどりさんが随所に長崎愛に溢れるコメントを述べているところも、深く印象に残った。
2016年12月1日、東京書籍、1600円。