副題は「穂村弘が聞く馬場あき子の波瀾万丈」。
角川「短歌」2013年10月号から2014年10月号にかけて連載された「馬場あき子自伝―表現との格闘」に加筆修正したもの。
穂村さんのインタビューに答える形で、生い立ちから戦時中の青春時代、短歌との出会い、「かりん」創刊、今後の短歌についてなど、かなり率直に語っている。
どの雑誌も創刊のころというのは元気で、楽しいものです。だから、いつも創刊号を出すつもりで編集すべきなんです。
良い言葉だなあと思う。マンネリにならないように、常にフレッシュな気持ちであり続けるということだろう。
六十過ぎたらもう自分自身との対話だけがたよりですよ。
歌人は歌を作る以外、ないのよ。それで、毎日、歌を作る。
シンプルな言葉が胸に響く。表現する人だけが持つ深い孤独が感じられる。
馬場さんの人生や作品の奥に潜むものが、十分に伝わってくるインタビューであった。聞き手の穂村さんの力も大きい。
2016年6月25日、角川書店、1800円。