河野裕子の残した約6400首の歌から、永田和宏、永田淳、永田紅の三人が約1500首を選んだアンソロジー。
15歌集それぞれに編者の書き下ろしエッセイが付いているほか、歌集の書影や年譜も載っている。解説は三枝ミ之さん。
永田和宏さんのエッセイ「自宅介護のころ」に書かれているエピソードが、何だかすごかった。感想がうまく言えない。
永田紅さんのエッセイ「どこかに猫はいないかな」には、こんな一節がある。
横浜に住むようになって、母は「横浜の猫はしっぽがない!」と驚いたそうだ。しっぽの短い鍵尾の猫を、それまで見たことがなかったのだ。
おお、こんな時こそ『くらべる東西』の出番だ。
カギ形のしっぽが多いのが「東のネコ」
真っすぐな形の尻尾が多いのが「西のネコ」
と、写真入りでちゃんと書いてある。
東京のわが家で飼っていたミミも、尻尾が曲がって短い猫だった。
2016年8月4日、岩波書店、1800円。