2016年07月30日

万城目学著 『とっぴんぱらりの風太郎』


買ったまま積んであった本を読む。
全746ページ。弁当箱みたいに厚い。
「風太郎」は「ふうたろう」ではなく「ぷうたろう」。プータロー。

伊賀の忍者の話ということで、鴨川ホルモー(京都)、鹿男あをによし(奈良)、プリンセス・トヨトミ(大阪)、偉大なるしゅららぼん(滋賀)に続いて、今度は三重の話かと思ったが、それは第1章だけ。第2章からは京都と大阪が舞台である。

これまでの作品とはだいぶ感じが違って、けっこうシリアスな内容。面白いところもたくさんあるのだが、読み終えた後はずっしりとした重みが残った。

小説のテクニックとして気づいたこと。

「Boa Sorte(ボアソルチ)、――風太郎」
黒弓が妙な言葉を唱えた。
「何だ、それ?」
「向こうの言葉で、『幸運を』っていう意味だよ」

このやり取りだけで、仲間の「黒弓」が異国から来たことがわかる。
説明を省いて会話だけで読者に伝えている。

蝉は俺より二つ年を食っている。つまり、今年で二十歳になる。

要するに主人公の俺(風太郎)は、18歳ということだ。
「俺は十八歳」と読者に向けて自己紹介するより、よっぽど自然である。

このあたりは短歌にも応用できる部分だろう。

2013年9月30日、文藝春秋、1900円。

posted by 松村正直 at 10:58| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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