2016年07月05日

鈴鹿野風呂句集 『海豹島』

鈴鹿野風呂は昭和15年8月8日から27日まで、北海道、樺太、東北をめぐる旅をしている。8日に京都を発ち、樺太に入ったのが12日。そして16日まで樺太に滞在した。

句集『海豹島』は、その旅で詠まれた俳句を集めたものであり、後半には「蝦夷行日誌(俳諧日誌)」も収められている。

 絶え間なく湧く霧に翔けロツペン島
 膃肭獣は吼えロツペン叫ぶ霧の島
 百の成牝(カウ)の王たる成牡(ブル)に秋日爛
 土に化す幾幼獣の屍に秋日
 目に涼しロツペン鳥の青卵子

タイトルともなった樺太の海豹(かいひょう)島を詠んだ句である。「海豹」はアザラシだが、実際はオットセイとロッペン鳥(ウミガラス)の繁殖地として有名な島だ。2句目の「膃肭獣」はオットセイ。今では「膃肭臍」と書くことが多い。

  P1050162.JPG

本の表紙も海豹島。
手前にはオットセイ、崖と空にはロッペン鳥。

  P1050163.JPG

裏表紙はロッペン鳥のアップ。
こうして見るとペンギンみたいだ。

昭和15年10月20日、京鹿子発行所、1円80銭。


posted by 松村正直 at 09:22| Comment(0) | 樺太・千島・アイヌ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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