2016年06月17日

加古陽治著 『一首のものがたり』


副題は「短歌(うた)が生まれるとき」。

2013年2月から2015年2月まで、東京新聞、中日新聞、北陸中日新聞の夕刊に連載された「一首のものがたり」を加筆、修正してまとめたもの。著者は東京新聞文化部長で、「心の花」に所属する歌人でもある。

小野茂樹、筑波杏明、菱川善夫、俵万智、鶴見和子など27名の歌人の一首を取り上げて、その背後にある出来事や時代状況などを詳しく解き明かしている。

夕照はしづかに展くこの谷のPARCO三基を墓碑となすまで
              仙波龍英『わたしは可愛い三月兎』

中でも1980年代から90年代にかけて活躍した仙波についての物語は、その悲しい最期とも相まって印象深い。入院中の日記に記された言葉の数々が、せつなく胸に響いてくる。

2016年4月27日、東京新聞、1300円。

posted by 松村正直 at 22:42| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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