先月大阪であった「春の短歌祭」の講演で、栗木京子さんが
「病む人のこころはわからぬものだから」誰の上(かみ)の句ひよんと口出づ 小池光 『思川の岸辺』
という一首が
病む心はついに判らぬものだからただ置きて去る冬の花束
岡井隆 『斉唱』
を踏まえているという話をされていた。
今日、たまたま同じような例を見つけた。
〈二人のひとを愛してしまへり〉の上の句はなんだつたつけ 新雪を踏む 大口玲子 『ひたかみ』
の元歌は、
陽にすかし葉脈くらきを見つめをり二人のひとを愛してしまへり
河野裕子 『森のやうに獣のやうに』
である。
こんなふうに並べてみると、パズルを解いているみたいで楽しい。