国境とは何か。
という問題に最近は関心があって、いくつか本を読んだりしている。
昭和7年の夏に斎藤茂吉は北海道に住む次兄を訪ね、そのついでに樺太まで足をのばした。まさに「ついで」という言葉がふさわしい2泊3日の行程であった。樺太の原生林を見たいという目的があったとはいえ、気軽に樺太に渡っているのである。
それはもちろん、樺太が日本領であったためである。当時の国境線は宗谷海峡ではなく、樺太の北緯五十度に引かれていた。
一方、今ではどうか。北海道旅行の「ついで」にサハリンを訪れる人は皆無である。サハリンは気軽に行ける場所ではなくなってしまった。
当り前の話だが、北海道とサハリンの地理的な距離が遠くなったわけではない。昔も今もサハリンは同じ場所にある。けれども、その間に引かれた国境というものが、私たちに心理的な距離感をもたらしているのである。
あるいは、こんな想像をしてみてはどうだろう。もし津軽海峡に国境線が引かれたとしたら。そうしたら、私たちは北海道という土地に心理的な距離感を覚えるようになるに違いない。
そんなことを考えて、先日、NPO法人国境地域研究センターというところに入会した。
http://borderlands.or.jp/index.html
2016年04月24日
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