2016年04月18日

舟山廣治編著 『樺太庁博物館の歴史』

明治38年から昭和20年まで存在した樺太庁博物館の歴史を、法令、制度、建築、人物、出版物など様々な観点から解き明かした本。編著者は一般財団法人北海道北方博物館交流協会の理事長。同協会の理事が中心となって、分担執筆している。

菅原繁蔵、高橋多蔵、山本利雄など、樺太庁博物館と関わりの深い人々の事績についても詳しく記されていて、ありがたい。

樺太庁博物館の建物や資料は、戦後、ソ連(現ロシア)のサハリン州郷土博物館として使われている。昨年の夏に訪れた時も、予想以上に多くの人々で賑わっていた。

  P1040770.JPG

旧樺太庁博物館に収蔵されていた膨大な量の博物館資料や設備が、サハリン州郷土博物館に再利用されたことは、戦火を交えた国家間での文化遺産継承の例として、あるいは、両国の博物館交流の上からも重要な歴史である。

歴史についての評価はともかく、現在も博物館として残っているのは嬉しいことだ。サハリン観光の目玉と言って良い場所である。

2013年3月31日、北海道北方博物館交流協会、2000円。

posted by 松村正直 at 22:46| Comment(2) | 樺太・千島・アイヌ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
樺太博物館について、芥川賞作家 寒川光太郎氏の短編小説集 「草人」に 書かれています。
菅原繁蔵氏(寒川光太郎氏の実父)は栖原と言う名前で登場しています。
高橋多蔵氏は香橋と言う名前で登場しています。
なかなか面白いですので是非読んで頂けたらと思っております。
Posted by 倉井裕太郎 at 2016年04月30日 19:48
コメントありがとうございます。
『草人』については『樺太庁博物館の歴史』の中でも言及がありました。菅原繁蔵と山本利雄の間に対立があったようですね。
早速古本で購入しましたので、近いうちに読んでみたいと思います。
Posted by 松村正直 at 2016年05月01日 09:00
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。