2016年04月09日

『国境の人びと』の続き

国境や領土、領海といった話は、どうしてもナショナリズムを刺激しやすい。
この本も、

海を狙われる国「日本」と海を狙う国「中国」「ロシア」「韓国」との対立が生まれている。そして、その対立の中にある「異なる領土の主張」は、国家間の紛争の火種となり、いつ暴発してもおかしくない状態になっているのだ。

という立場に基づいて書かれている。国境問題が大切なことは間違いないが、危機意識を煽るだけでは、ますます解決から遠ざかるばかりだろう。

著者は韓国について

教育の現場においては、「独島はわが領土」という歌までつくり、わざわざ竹島=独島の存在を子供に教えている。本来自国の島であれば、わざわざ竹島はわが領土などという必要はないのだ。

と書く一方で、日本については

二〇一四年四月、文部科学省は、一五年度から小学校で使う教科書の検定結果を公表した。その中で、島根県の竹島、沖縄県の尖閣諸島に関して、社会の教科書と「地図」の一四点中、五、六年生用の計七点が「日本(固有)の領土」と明記している。小学校の教科書に竹島と尖閣諸島の領有権が明記されたのはこれが初めてである。

と誇らしげに書いている。こんな単純な矛盾にも気づかなくなってしまうほどに、領土をめぐるナショナリズムは根が深いのである。

posted by 松村正直 at 20:10| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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