2016年03月11日

甲斐崎圭著 『山人たちの賦』


副題は「山暮らしに人生を賭けた男たちのドラマ」。
1986年に山と溪谷社から刊行された単行本の文庫化。30年前の本ということになる。

「北の山の羆撃ち」「阿仁のマタギ」「白馬岳のボッカ」「イワナの養殖師」「修験者の宿坊守」「最後の木地師」など、北海道から岡山まで、全国各地の山に暮らす人の姿を追った13篇のルポルタージュを収録。

私が自分に枷(か)したのは、お茶を飲んだり酒を呑んだりして話を聞くだけでなく、必ず現場に同行させてもらうということだった。

強風の中を猟師とともに獲物を追い、絶壁にぶら下がって岩茸を採り、急斜面の細道をたどって山の中の仕事場へ行く。現場に同行することで初めて実感できることが多いのだ。

30年以上前の記録なので、今では状況も随分と変っている。文庫版付記として「行方のオヤジさんは二〇〇五年に逝去された」「松橋さんは二〇一一年一月、静かに逝去された」といった記載があり、歳月の経過を感じさせる。

最も興味を引かれたのは「京都修道院村」。あらゆるセクトを超えた修道院を目指して1972年から京都北山の奥深くに建てられた修道院。1980年の取材当時は、日向美則氏を中心として4人の修道士、2人の修道尼、そして2人の村人が住んでいた。ここも、現在は活動停止状態になっているらしい。

2015年12月23日、ヤマケイ文庫、880円。

posted by 松村正直 at 16:40| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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