鎌倉やみほとけなれど釈迦牟尼は美男におはす夏木立かな
この歌について著者は「大仏の裏手に歌碑も立っている。ところが、実は、あの大仏はお釈迦さまじゃあない。大仏のある高徳院は浄土宗の寺で、本尊は阿弥陀如来である」と記す。
まあ、短歌業界では有名な話ですね。
なぜこの話を思い出したかと言うと、14日の朝日新聞の天声人語を読んだからである。
鎌倉の大仏はいま半世紀ぶりの点検修理中である。〈みほとけなれど……美男におはす〉と与謝野晶子がたたえたマスクだけでなく体の内側も念入りに調べる。
三十一音しかない短歌をどうして中途半端に引用するのか疑問に思ったのだが、もしかすると「釈迦牟尼は」を省きたかったのではないか。これを入れると「実は釈迦牟尼ではないのだが……云々」といった断り書きが必要になると思ったのかもしれない。