2016年02月17日

釈迦牟尼

先日読んだ野矢茂樹著『哲学な日々』に、与謝野晶子の歌が引かれていた。

 鎌倉やみほとけなれど釈迦牟尼は美男におはす夏木立かな

この歌について著者は「大仏の裏手に歌碑も立っている。ところが、実は、あの大仏はお釈迦さまじゃあない。大仏のある高徳院は浄土宗の寺で、本尊は阿弥陀如来である」と記す。

まあ、短歌業界では有名な話ですね。
なぜこの話を思い出したかと言うと、14日の朝日新聞の天声人語を読んだからである。

鎌倉の大仏はいま半世紀ぶりの点検修理中である。〈みほとけなれど……美男におはす〉と与謝野晶子がたたえたマスクだけでなく体の内側も念入りに調べる。

三十一音しかない短歌をどうして中途半端に引用するのか疑問に思ったのだが、もしかすると「釈迦牟尼は」を省きたかったのではないか。これを入れると「実は釈迦牟尼ではないのだが……云々」といった断り書きが必要になると思ったのかもしれない。

posted by 松村正直 at 06:30| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。