2016年02月16日

山田航編著 『桜前線開架宣言』


副題は「Born after 1970 現代短歌日本代表」。

1970年以降に生まれた歌人40名のアンソロジー。
山田航が40名の歌人の各56首を選び、さらに歌人論を書いている。

三輪車つめたく錆びて置かれをり子に叛かれし老母のごとく
                 高木佳子
銀縁の眼鏡いっせいに吐き出されビルとは誰のパチンコ台か
                 松木 秀
しばらくを蜜吸ひゐたる揚羽蝶去りゆきて花浮きあがりたり
                 横山未来子
あなおとなしき駱駝の腹に浮きでたるホースのように太き静脈
                 齋藤芳生
そよかぜがページをめくることはなくおもてのままにKindleをおく
                 光森裕樹
白というよりもホワイト的な身のイカの握りが廻っています
                 岡野大嗣
レシートは冬の陽射しを記録してやがて無文字となる白い土地
                 吉岡太朗
かあさんは食べさせたがるかあさんは(私に砂を)食べさせたがる
                 野口あや子
雪が降る(イル・ネージュ) かくも空疎な例文をとなへてあれば
口中さむし           吉田隼人
カーテンに鳥の影はやし速かりしのちつくづくと白きカーテン
                 小原奈実

他にも「歌集が欲しいんだけどどうすれば手に入るかな?」「歌集ってどういう出版社から出ているの?」といった疑問に答えるコラムや、ブックガイドなどもあり、手に取りやすい内容となっている。

こうしたアンソロジーで好きな歌人を見つけて、さらにその人の歌集を読んでみる、といった流れが広まるといいなと思う。

2015年12月25日、左右社、2200円。

posted by 松村正直 at 07:33| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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