「京大短歌」出身で、異例の若さで短歌結社「塔」の主宰となった吉川宏志(一九六九〜)も、若手への影響力が大きい歌人である。
さらっと読み過ごしてしまいそうな文章である。結社の主宰というと年配の方が多いので、確かに「異例の若さ」という気もする。でも、本当にそうだろうか?
まず、「塔」について、生年と主宰になった年を見てみると
高安国世 1913年、1954年(41歳)
永田和宏 1947年、1993年(46歳)
吉川宏志 1969年、2015年(46歳)
となって、別に「異例の若さ」ではないことがわかる。
他の結社はどうだろうか。
近藤芳美(未来) 1913年、1951年(38歳)
宮柊二(コスモス) 1912年、1953年(41歳)
馬場あき子(かりん)1928年、1977年(49歳)
春日井建(中部短歌)1938年、1979年(41歳)
三枝昂之(りとむ) 1944年、1992年(48歳)
大塚寅彦(中部短歌)1961年、2004年(43歳)
など、40歳代で結社の主宰になるというのは、ごく普通のことなのである。
このことに限らず、何でも書かれていることを鵜呑みにするのではなく、自分なりに考えながら読むことが大事だろう。
主宰就任時の年齢として見ると、四十代はそれほど若いわけでもないのですね。ただし、主宰は死ぬまで務めることが多いので、主宰の平均年齢は必然的に高くなります。
四十代くらいで主宰に就任するなり、新たに結社を立ち上げるなりしないと、きっと体力的にもしんどいのだと思います。
ちょうど今朝の読売新聞に「セ全球団 40代監督」という記事が載っていました。今年のセリーグは6球団とも40代の監督だそうです。