川尻を立つ白鳥の羽ばたきや冬日に白く漣(なみ)かへすなり
中野川さして群立つ白鳥の羽耀ふやとほき冬日に
冬空を群立つ羽のおほらかに白鳥はまさに風に光れり
冬日なか靄立つ山の裾とほく風に乗りゆく白鳥の群
群立ちて白鳥は陽にかがやけり遠去りゆくに声のかなしさ
「白鳥の賦」14首より。
1首目、河口付近から飛び立ってゆく白鳥の群れ。さざ波が立っている。
2首目、「中野川」は豊原と真岡の間の山中を流れている川。やがて留多加川となって亜庭湾に注いでいる。ここでは河口から上流の方へと移動していくのだろう。本州などで越冬を終えて樺太経由でシベリアへ渡っていく途中なのかもしれない。
3首目、ゆったりと羽を光らしながら飛んでいく白鳥の姿。
4首目、海岸から山の方へ風に乗って進む白鳥を見送っているところ。
5首目、遠ざかっていく白鳥の鳴き声が聞こえる。