2015年11月30日

小見山泉歌集『みづのを』批評会

昨日、龍短歌会の小見山泉さんの第1歌集の批評会があった。
14:00からハートンホテル京都にて。

パネリストは田中教子、中津昌子、松村正直、魚村晋太郎(司会)。

棺の中で目を閉ぢゐるは同姓の老女にてその人生を知らず
茶畑を歩みて着きし山の家の奥にはひかるまなこが四つ
父をまね湯呑み茶碗に白湯(さゆ)を入れ富乃宝山をなみなみと注ぐ
風邪癒ゆと庭に出づればやはらかに山芋の葉が日にひかりをり
まなうらの薄やはらかい水の珠が壊れぬやうに夢に入りゆく
葉唐(はとん)を煮つつ「辛い辛い」と泣き笑ひして母と食べゐし夏を思ひぬ
水路(みづみち)には根雪がとけて流れつつさみどりの蕗の薹をそよがす
笠岡の「ちーちー烏賊」のちーちーは網にかかりし烏賊の鳴き声
このうみの淡海でありしいにしへを思ひつつ浜名湖今切(いまぎれ)をわたる
ぬばたまの厨の闇にかぎりなく黒木耳(きくらげ)が広がりてゆく

17:00から「シェ・モア」にて懇親会。

歌人だけでなく、作者の知り合いの学者、詩人、彫刻家、編集者など、さまざまなジャンルの人が参加して賑やかな会だった。

posted by 松村正直 at 07:27| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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