文庫書き下ろし。
辺野古移設問題で揺れる沖縄の独立に向けた道筋を示した本。1609年の島津藩の侵攻に始まり、1879年の琉球処分、沖縄戦、アメリカによる統治、そして現在も残る多くの米軍基地といった歴史を踏まえ、沖縄に対する差別を解消するために、「琉球人の琉球人による琉球人のための独立」を説く。
著者の視点は沖縄だけでなく、スコットランドの独立運動や島嶼国パラオの政治、あるいは国際法にも及び、独立のための具体的な方策を探っていく。
琉球は日本固有の領土ではありません。琉球はかつて国であり、琉球併合は国際法上でも違法なのです。
これは、明治期に日本が台湾や朝鮮を植民地化していった流れの発端に琉球併合があるとの見方である。その根拠として、琉米修好条約(1854年)、琉仏修好条約(1855年)、琉蘭修好条約(1859年)の締結という事実が挙げられており、その主張には合理性がある。
独立に向けた著者の意気込みはよくわかるし、共感する部分もあるのだが、全体にやや精神論に傾き過ぎている点が気になった。同じ主張の繰り返しも多い。
日本政府がこのまま辺野古新基地建設を進めていくと、琉球は「独立」というカードを切って自らの道を進もうとするでしょう。
「独立」が交渉におけるカードとして捉えられている限り、それはまだ現実的な話ではないと言えるのかもしれない。
2015年9月15日、講談社文庫、690円。