2015年10月22日

皆藤きみ子歌集 『仏桑華』 から (その7)

今日よりは吾子にしたしき校門ぞ積み雪はいまだなかば埋めつ
身につけしものみな重しこの国の新入生よ汝があはれなり
六キロの雪道とほし今日よりは汝(なれ)が通はむこのみち遠し
父母を離(か)れて幾日も経(た)たなくにものいふことも学童さびて
道くさをけさ戒めて行かせたる子がポケットより石あまた出づ

「長男入学」13首より。

1首目、長男の国民学校初等科(小学校)の入学式。4月になってもまだ校門は雪に埋もれている。
2首目、「いまだ防寒具着けてあれば」と注がある。厳しい寒さの中で学校に通う子ども。「この国」は樺太を指している。
3首目、自宅から学校まで6キロの道を通う。親としては心配だろう。
4首目、親の心配をよそに、子どもは学校にも慣れて、しっかりしてきたのだ。
5首目、石をたくさん拾って帰って来る子。このあたり70年前も今も変らない。

posted by 松村正直 at 06:12| Comment(0) | 樺太・千島・アイヌ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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