2015年10月17日

木山捷平著 『新編 日本の旅あちこち』


昭和42年に永田書房から刊行された『日本の旅あちこち』に、その後の作品などを加え再編集し、文庫化したもの。紀行文27篇と詩2篇を収録。

昭和30年代後半から、43年に亡くなる少し前まで、ノサップ岬、秋田、粟島、伊豆、伊良湖岬、城崎、天理、長門湯本温泉、佐世保など、全国各地を旅して味わいのある文章を残している。

「それはタラバガニです。北海道では大体カニが三種類とれますが、タラバは人妻の味、ケガニは女房の味、ハナサキガニは生娘の味ということになっております」

これは、根室の人に教わった少々きわどい話を書き留めたもの。

再び自動車の人となって、三里(約十二キロ)の道をぶっとばして渥美町折立の杉浦明平氏宅の前に車を止めた。

伊良湖岬へ行った際には、杉浦明平の家を訪れている。

私の郷里地方で、最も大衆的に発達しているのは、マゼメシである。マゼメシはつまりマゼズシ、標準語的にいえば、五目ずしのことである。

ふるさと岡山の料理について述べた文章である。ここに出てくる「マゼメシ」というのは、今で言う「ばら寿司」のことだろう。

この晩は鹿児島泊まりで、夜は城山のてっぺんにある観光ホテルで、県知事と市長の歓迎レセプションがあった。

これは今年の夏に行った城山観光ホテルではないか。調べてみると、ホテルの開業は昭和38年。木山が訪れたのは昭和42年のことなので、まだ出来たばかりという感じの頃である。

2015年4月10日発行、講談社文芸文庫、1600円。

posted by 松村正直 at 10:27| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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