副題は「ベランダから見渡す映画論」。
写真家の大山顕、脚本家の佐藤大、編集者の速水健朗の3名が、新宿の「ロフトプラスワン」で4回にわたって行ったトークライブ「団地団夜」をもとに、加筆・再構成してまとめた本。
「ウルトラマン」「耳をすませば」「しとやかな獣」「団地妻 昼下りの情事」「デジモンアドベンチャー」「ピカ☆ンチ」など、様々な映像作品に登場する団地について、かなりディープに語り合っている。
映像やシナリオや団地について、興味深い話が次から次へと出てくる。
アニメでは「ないもの」を描くことが一番難しい。でも、ここでは手紙が落ちていくことによって生まれた、風と空気と重力が見事に描かれている。
天才を説明する立場としての、受け手側の代表となるキャラクターが、物語には必要である。例えば、主人公が自分のことを天才と語るより、周囲の人間から天才だと説明してもらうことで、嫌味なく自然に観客へと伝えられる。
畳って、四畳半とか六畳をひとつの基本ユニットとして配置していくための規格であって、さらに言うとモジュール化なんですよね。この畳の規格に沿っていろんなもののサイズが決められます。
本のはじめには、「団地団、団地へ行く」と題して、狭山団地、大蔵住宅、多摩川住宅、高島平団地、都営西台アパートの5か所の団地を訪れた様子が、カラー写真入りで紹介されている。
2012年2月10日、キネマ旬報社、1900円。