2015年09月11日

猟師と歌人

『けもの道の歩き方』を読んでいると、猟師と歌人にはけっこう共通点(?)があるなと思う。

札幌のフォーラムでは、若手猟師によるパネルディスカッションも行われた。パネラーの一人は二十代の大学院生だったが、あとの二人は偶然にも僕と同い年だった。事前の打ち合わせで、「四十歳手前で若手って言ってもらえるのは、狩猟の世界ぐらいやね」と苦笑しながら話していた。

いえいえ、短歌の世界もそうですよ。

「猟師」なんて名乗っていると、狩猟だけで収入を得ているとよく誤解される。「そうではない」と言うと、「じゃあ趣味なんですね」となる。僕は「それも違う」と答える。

このやり取りも、歌人がよく経験するものだ。

職業に関する話をしていると、よく「食べていけるか」というのが問題になるが、この「食べていける」というのがけっこう幅のある言葉である。100万円で食べていけるという人もいれば、1000万円あっても足りないという人もいるだろう。

だから、もちろん「食べていけるか」というのは大事なことなのだけれど、それが全てではない。生活の仕方や価値観、人生観、さらには住む場所や他人との関わりなど、様々な要素を含めて考えるべきことなのだと思う。

ちなみに、千松さんは

二〇一四年度の猟期はイノシシ六頭、シカ十頭の猟果で、一月下旬には猟を終えた。家族や友人で分けあって食べても十分すぎる量で、一年間肉には困らない。

ということで、狭義の意味での「食べていく」ことには困っていないらしい。

posted by 松村正直 at 07:48| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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