2011年に扶桑社より刊行された単行本の文庫化。
「私は酒飲みである。休肝日はまだない」という著者が、原則として飲酒が禁じられているイスラムの国々で酒を求めて奮闘する旅行記。訪れた国は、カタール、パキスタン、アフガニスタン、チュニジア、イラン、マレーシア、トルコ、シリア、ソマリランド(ソマリア北部)、バングラデシュ。
多くのイスラムの国を訪れて、著者が感じたのは
イスラム圏にも地域性が歴然として存在し、それがイスラム自体を多様で豊かなものにしているのだ。
一口に「イスラム国家」と言っても、国民が百パーセント、ムスリムという国は存在しない。
という、よく考えてみれば実に当り前のこと。けれども、現地を訪れてみないと、こうしたことさえ実感としてはなかなかわからない。
イラン旅行の話の中に
彼らは英語をまったく話さず、私もペルシア語の単語は何ひとつ知らない。私は『旅の指さし会話帳 イラン』を取り出して、「酒」という単語を黙って指差した。
という場面が出てくる。
おお、「旅の指さし会話帳」!
先月のサハリン旅行に、この『旅の指さし会話帳』を持って行ったところ、かなり役に立った。現地の方とコミュニケーションが取れるというのは、やはり楽しい。
2014年7月15日、講談社文庫、770円。