2015年08月20日

『「昭和」という国家』のつづき

この人(富永仲基・松村注)を明治二十年代で発見したのが内藤湖南です。そのほかたくさんの人を発見しています。埋もれた江戸時代の無名の知識人を、われわれに教えてくれたのは内藤湖南です。
江戸時代の不思議な思想家として、山片蟠桃がおります。この人も高砂の出身です。職業的には一生番頭さんだったものですから、蟠桃と、ユーモラスな号をつけた。無神論を展開し、彼も内藤湖南に発見されています。
今は安藤昌益の全集もありますから、それを見ればよいのですが、この人は狩野享吉が発見するまで、ほとんど無名でした。

今では日本史の教科書にも載っている山片蟠桃や安藤昌益も、誰かがその存在を発見するまでは無名の存在であったのだ。司馬遼太郎もまた、歴史に埋もれた人物を発見すべく、歴史小説を書き続けたのかもしれない。

他人の書いたものや他人の評価に乗っかるのではなく、自分の眼で見出す努力。これは、短歌の世界においてもますます大事になっていくにちがいない。

posted by 松村正直 at 16:37| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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