人生の教訓や道徳を5・7・5・7・7の形式で詠んだ「道歌(どうか)」を集めて解説を付けた本。平安時代から現代にいたる138首が収められており、聞いたことのある歌も多い。
語るなと人に語ればその人はまた語るなと語る世の中
稽古とは一より習い十を知り十より返るもともその一
人をのみ渡し渡しておのが身は岸に上がらぬ渡し守かな
急がずば濡れざらましを旅人のあとより晴るる野路の村雨
うち向かう鏡に親の懐かしきわが影ながら形見と思えば
「長い歴史のなかで培われた、軽妙洒脱で高尚な文化であり、日本の誇るべき財産」といった点が随所に強調されるのが少しわずらわしいのだが、文学という枠組みを超えた歌のあり方を考える上で参考になる一冊である。
2007年3月5日、KAWADE夢新書、720円。