「現代歌人シリーズ」の1冊目。
2014年4月から10月までの作品208首を収めた第5歌集。
横浜市立桜丘高校の国語教師、バスケ部顧問として奮闘する日々を、物語風な連作によって描いている。
なんでもあり、またなんでもない街、渋谷 人より人の影が多くて
フリースロー一本外し二本目は祈り(やその他)のぶん重くなる
車窓から海が見えると「わぁ」となりホテルが見えるとみな黙りこむ
Tに出す手紙「ご批評感謝します」きっとこの「ご」はきっと、痛い
三点を狙ってシュートを打ったてのひらは飛び立つ鳥の羽かも
こうして見ると、千葉さんの歌の持っている雰囲気は、初期の頃とほとんど変わらない。1998年に短歌研究新人賞を取った「フライング」や、2000年に出た第1歌集『微熱体』と、ほぼ同じ世界と言っていいだろう。
2015年4月19日、書肆侃侃房、1900円。
たぶん自分はずっと変わらないと思います。一生同じタイプの曲を歌い続ける歌手みたいに。
またゆっくり会いましょう。
千葉さんの歌集を読みながら、自分の歌は『駅へ』の頃とずいぶん変ったなあと感じています。「かばん」と「塔」と、所属する場所の違いもあるのでしょうね。