副題は「この島の本を売る」。
絵:高野文子。
ジュンク堂書店池袋本店で働いていた著者は、那覇店の開店に伴って沖縄に移り、その後、退職して「市場の古本屋ウララ」を開いた。その経緯については、『那覇の市場で古本屋』(ボーダーインク)に詳しい。
http://matsutanka.seesaa.net/article/387139340.html
本書は「本を仕入れる」「本を売る」「古本屋のバックヤード」「店番中のひとりごと」「町の本を町で売る」の5章に分かれていて、古本屋の仕事や地域の人々との関わりなどが、わかりやすく記されている。
那覇の観光スポットにもなっている第一牧志公設市場の向かいにある店は、わずかに三畳。路上にはみ出た分を含めても六畳だ。そこで、沖縄に関する本を中心に扱っている。
大変なことももちろん多いのだろうが、自分で決めた人生を歩んでいる著者は楽しそうだ。
私も毎日の売上に一喜一憂しながら暮らしています。自分で店をやっている限り、これで安泰ということはないのでしょう。時間とお金をどう使うか。楽しければ赤字でもいいのか、何のために仕事をしているのか、いつも考えています。
このあたり、実際に一日/一か月の売上がいくらで、支出がいくらかといった現実的な話があっても良かったかもしれない。
2015年6月10日、ちくまプリマー新書、820円。