2015年06月19日

石川文洋著 『フォトストーリー 沖縄の70年』


沖縄で生まれ4歳の時に本土に移住した著者が、「在日沖縄人」という立場から、戦中戦後の沖縄の歴史を綴った本。著者の撮影したものを中心に約200点の写真が掲載されている。

沖縄戦、アメリカによる統治、ベトナム戦争、本土復帰、現在も残る米軍基地と、1945年から2015年に至る70年の沖縄の歴史には、様々な苦難があった。

一九六九年一月、「いのちを守る県民共闘会議」は二月四日にゼネストで一〇万人を動員して基地の機能をマヒさせる方針を決めた。(…)この沖縄の動きに対して佐藤政権はゼネスト阻止の構えを見せた。(…)一月二九日、東京で佐藤首相と会見した屋良主席は、改めてゼネストの回避を要請された。
このこと(1987年にビザ発給に際してベトナム人の沖縄訪問が認められなかったこと)は当時、『琉球新報』『沖縄タイムス』両紙で大きく扱われ、読者からも様々な反響が寄せられた。しかし、本土の三大紙は一行も扱わなかった。

こうした部分を読むと、現在の沖縄をめぐる問題の構図が、戦後ずっと同じように存在し続けてきたことがわかる。著者の願う「基地のない平和な島・沖縄」の実現は、いつのことになるのだろうか。

2015年4月21日、岩波新書、1020円。

posted by 松村正直 at 06:20| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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