副題は「樺太・択捉・北千島に刻まれた歴史」。
ユーラシア・ブックレットNo.200。
戦前から戦後にかけて日本とロシア(ソ連)の国境となった「樺太の北緯50度線」「北方領土の択捉島」「北千島の占守島」の三か所を訪ねた記録。著者は北海道新聞社の根室支局やユジノサハリンスク支局勤務を経て、現在は報道センター編集委員を務めている。
樺太50度線に設置されていた4基の国境標石のうち、第2号は現在「根室市歴史と自然の資料館」に収められているが、それが著者たちの尽力によるものだということを、本書の記述によって初めて知った。
また、現在行方不明とされている4号標石が或るロシア人に所蔵されていることや、サハリン州郷土博物館に展示されている3号標石が戦前の日本時代に作られたレプリカであることなども記されている。
過去を知ることは未来を考えることでもある。歴史は未来の羅針盤だと思う。
過去の出来事をなかったことにしたり、忘れたりするのではなく、様々な問題も含めてきちんと検証しておくことが大切だ。そういう意味でも、これは非常に価値のある一冊だと思う。
2015年2月25日、東洋書店、800円。