副題は「隠岐島前発ふるさと再興への挑戦」。
西ノ島(西ノ島町)、中ノ島(海士町)、知夫里島(知夫村)の3つの島、3つの町村からなる隠岐の島前(どうぜん)地域。高齢化や過疎化が進む現状を何とかしようと、唯一の高校である「隠岐島前高校」を核に奮闘する人々の姿を描いた本。
地元の人だけでなく、外部からも人を招き、行政・学校・住民の連携のもと、観光甲子園への出場、観光ツアー「ヒトツナギ」の開催、「隠岐國学習センター」の開設、「島留学支援制度」の創設など、次々と新たな取り組みを行っていく。
その根本には、時代の変化に伴う発想の転換がある。
これまで「小規模校」という弱みに捉えられがちだったことが、逆に全教員が全生徒の顔と名前や性格まで把握している「少人数教育」という、圧倒的な強みに転換できる。
一枚目は、高度成長社会で、欧米を先頭に、日本、そしてこの島が最後尾にある図。二枚目は、それが逆向きになり、小さなこの島を先頭に、日本、欧米と続いていた。「最後尾から最先端へ 持続可能な社会への曳船(タグボート)に」。
2010年に隠岐に旅行して以来、島前地域には関心を持っている。十年後、二十年後に、この本に書かれた試みがどのように実を結ぶか(あるいは結ばないか)、見続けていきたい。
・隠岐旅行
http://matsutanka.seesaa.net/article/387138308.html
・山内道雄 『離島発 生き残るための10の戦略』
http://matsutanka.seesaa.net/article/387138291.html
2015年3月24日、岩波書店、1500円。