2015年05月29日

笹田昌宏著 『よみがえる鉄道文化財』


副題は「小さなアクションが守る大きな遺産」。

歴史的価値のある鉄道の車両や施設などを、どのように保存・活用していくか。長年、鉄道文化財を守るために尽力してきた著者が、全国各地さらには海外の事例を紹介しながら、今後に向けての提言をしている。

解体寸前に救い出されて立派な鉄道博物館へ収蔵された車両もあれば、公園に永久保存されていたはずが老朽化して廃棄されてしまったものもある。

鉄道文化財は一見頑強そうに見えて、実は案外脆いという側面も持っている。現役を退いて数年も風雨にさらされると、たちまち荒れ始めてしまう。現役時代は定期的に車体の塗り直しなどの手入れが行われていたから美しさを保てただけで、決してメンテナンスフリーなどではないのだ。

これは、家などの建築物にも同じことが言える。保存するのは簡単なことではない。常に手入れをし続けなくてはならないのだ。

著者と友人との合言葉は「物さえ残っていれば、あとは何とかなる」。歴史的に価値あるものと認められるまで待っていては遅いのだ。一度失われてしまった物は、もう元には戻らない。後で歴史的な価値に気が付いても、物自体が残っていなければどうしようもない。

鉄道文化財に寄せる著者の熱意と愛情が、ひしひしと伝わってくる一冊である。

2015年4月15日、交通新聞社新書、800円。

posted by 松村正直 at 08:11| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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