副題は「読み継がれる千二百年の歴史」。
8世紀末に成立した『万葉集』が、その後どのように読まれてきたのか。
菅原道真、紀貫之、紫式部、藤原定家、源実朝、仙覚、賀茂真淵、佐佐木信綱らを例に挙げながら、平安〜中世〜江戸〜近代という1200年にわたる歴史を順にたどって解説している。『万葉集』の受容史と言っていいだろう。
『万葉集』を「読む」ためには、「訓(よ)む」こと、つまり漢字本文を解読して日本語として読み下すことが必要です。そして、「訓む」ことは機械的に漢字本文を〈ことば〉に起こしてゆく作業ではなく、「解釈」を伴う創造的な行為なのです。
今日の目からすると、古点は漢字本文から離れてしまっているように見えます。しかし、漢字と和語との対応が比較的ゆるい平安時代の漢文訓読に習熟していた源順(みなもとしたごう)らは、自らの「訓読」を漢字本文に即していると考えていたと思います。
最近、ちょっとしたことをきっかけに、『万葉集』に興味が湧いてきた。
これから少しずつ『万葉集』関連の本を読んだり、学んだりしていきたい。
2014年4月25日発行、角川選書、1600円。