2015年05月05日

瞬間と断片

「短歌」の島田幸典さんの評論からもう少し。

佐太郎によれば、生活の「瞬間と断片」それ「だけを大事なものとして追求するのは歌ぐらゐなもん」であり、

という部分に「瞬間と断片」という言い方がある。
佐太郎の『純粋短歌論』を見ると

短歌は純粋な形に於いては、現実を空間的には「断片」として限定し、時間的には「瞬間」として限定する形式である。
私は短歌に於いて「瞬間」と「断片」とに殆ど最高の意味を置いて考へてゐる。

などと言及されている。
これを読んで思い出すのは石田比呂志の歌論だ。例えば『閑人囈語』には

短歌表現の要諦は「時間」(瞬間)で「空間」(断片)を切り取る事にあるからだ。
つまり短歌表現の要諦は「時間」と「空間」にあるから、その場の瞬間(時間)で断片(空間)を切り取って表現せねばならぬ。

といった教えがあって、佐太郎の主張と重なる。

佐藤佐太郎と石田比呂志、一見まったく別のタイプの歌人のように見えながら、実は共通する部分がかなりあるのだということに気が付いた。

posted by 松村正直 at 06:14| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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