2015年04月12日

阿木津英著 「妹・律の視点から―子規との葛藤が意味するもの」

同じく子規庵の販売所にて買い求めた冊子。
2002年の第一回「若葉の子規庵」での講演をまとめたものである。

『仰臥漫録』『病床六尺』に記されている子規の「女子教育」「家庭教育」論や、妹・律に対する不満などをもとに、当時の男女の扱われ方の違いや時代の変化を追っている。

ひとつの食卓を囲む家族のあり方が理想になるのは、今の挿絵で見ましたように、明治も終わりになってからのことで、当時「家庭の団欒」はたいへん新しい概念だったのです。

わたしには、子規と律の関係は、義経と弁慶という「同志」の関係にはまったく見えませんし、子規の罵り意味もたんなる当たり散らしには見えません。そこには、進歩的な「新しい男」子規に対する「古い女」律の抵抗、子規の家庭改革実践に対して笛吹けど踊らぬ律の抗いぶりが潜んでいると思われます。

わかりやすく、しかも興味深い内容で、当時の時代の姿がよく見えてくる。

2003年4月25日初版第一刷発行、2012年10月23日第四刷発行、500円、子規庵保存会。

posted by 松村正直 at 07:21| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。