ウェブ・マガジン「マガジン航」に2012年4月から7月にかけて連載された文章を加筆・再構成したもの。
著者は『僕の見た「大日本帝国」』『ニッポンの穴紀行』などの書著があるノンフィクション作家。同じ年齢ということもあって親近感を持っている。
木造アパートの2階の部屋に大量の本を置いた著者が「床抜け」の不安を覚えるところから話は始まる。著者は実際に「床抜け」した人の話を聞きに行き、さらには蔵書を大量に処分した人や、蔵書を電子化した人、大きな書庫を建てた人など、蔵書をめぐる様々なドラマを追っていく。
本がどのぐらいあるか、玄関に本があるかどうかがひとつの基準となります。玄関が本で占拠され、中に入るのが困難な状況であれば、多いとみて間違いありません。
これは蔵書整理を手掛けている古書店主の発言。
これを読むと、わが家はまだ大丈夫だと安心する。
最初は本をめぐるドタバタを描いた軽い本だと思って読んでいたのだが、次第に話はシリアスになり、最後はじんとしてしまった。何とも身につまされる内容で、とても他人ごとではない。
2015年3月10日、本の雑誌社、1600円。