2015年03月22日

内藤正典著 『イスラム戦争』


副題は「中東崩壊と欧米の敗北」。

現在の中東情勢を過去に遡って分析し、イスラム報道の問題点や欧米の確立した中東秩序の限界を論じた本。日本の集団的自衛権容認のはらむ問題にも踏み込んでいる。

そもそも、ムスリムに「原理主義」と言っても何のことだか理解できません。なぜなら「イスラム原理主義」というのはアメリカにおける造語だからです。

「カイダ」とは、ベース、拠点を意味します。「アル」は冠詞ですから、“The Base”という意味でしかありません。アラビア語では野球のことを「アルカイダのボール」と言います。

こんな小さなことを知るだけでも、中東問題の見方が少し違ってくる気がする。

また、本書は「イスラムの一夫多妻は野蛮か?」「イスラムは女子教育を否定しているのか?」「イスラム主義者は話が通じないか?」「奴隷制復活は不可避か?」「イスラムの刑罰は残虐か?」など、私たちがふだん疑問に感じていることにも丁寧に答えている。

グローバル化が叫ばれるなか、アメリカのスタンダードにすり寄ることが大事だと信じている人もいれば、ひたすら反米で世界を見ようとする人もいます。問題は、どっちに偏っても、戦争の犠牲になる人々を減らすには、まったく役に立たないということです。

自分の主義主張に合わせて世界を見ようとしないこと。「偏らない」ためにも、イスラムに対する理解を少しずつでも深めていく必要がある。

2015年1月21日、集英社新書、760円。

posted by 松村正直 at 07:32| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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