2015年03月14日

本橋信宏著 『東京最後の異界 鶯谷』


鶯谷(東京都台東区根岸周辺)の歴史やそこに生きる人々の姿を追ったドキュメンタリー。

先月、子規庵を訪れた際にJR山手線の鶯谷駅で降りた。鶯谷駅は山手線の全29駅の中で、一日の乗降客数が最も少ない駅なのだそうだ。

鶯谷駅ホームに立つと、二つの異界が眺望できる。
山手線の外側―池袋方向から山手線外回り、時計方向に進行し下車して左手に広がるのは、乱立するラブホテル群である。
対してホームの反対側は、上野寛永寺の霊園が広がる。

まさに、この通りの景色が広がっていた。「明治期までは、風情ある鶯の鳴き声で満たされる田んぼと渓谷の土地柄」であった鶯谷は、現在ではラブホテルの林立する地区となっている。

そう言えば、花山多佳子さんにも子規庵を訪れた時の歌があった。

鶯谷の駅の通路に描かれてただにつたなき梅と鶯
「このへんはなぜラブホテルが多いの」夫が訊いてをり子規庵の人に
                花山多佳子『胡瓜草』

2015年2月19日、宝島SUGOI文庫、780円。

posted by 松村正直 at 08:07| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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