河野裕子エッセイ・コレクション3。
軽いエッセイのほかに、正岡子規、与謝野晶子、岡本かの子、馬場あき子、西行などを論じた評論も収められている。
印象に残るのは、河野さんの歌作りに関する話。
原稿依頼があった時、依頼された歌数の十倍の歌を作ることを自分に課している。
歌は理屈で作るものではなく、気合いで作るものだという一面があって、そういう時は、勢い、身体の方が先にことばをつかんでしまう。
歌を作りつづけているあいだに、自分のなかにあった、自分でも気がつかなかったものが現れてきて、驚くことがしばしばある。
河野さんの文章は、生身の河野さんの息遣いを強く感じさせる。
2014年10月25日、中央公論新社、1850円。