2015年02月10日

1960年の高安国世(その2)

以下、「塔短歌会メッセージ」の全文を引く。

 今日いよいよ理窟の通らぬ理窟を押し通そうとする傾向が露骨になって来た情勢の中で、啄木祭がおこなわれ、正しいものへの感覚をいかなる歌人にも先だって目覚ませて行った啄木をしのぶことは、まことに意義ふかいことを信じ、主催者ならびに参会者各位に敬意を表します。

 私たち歌を作る人間が、昔ながらの消極性に安んじていることは、特に今のような情勢の中では許されないことと考えられます。たとえ私たちの力が微かなものであるとしても、黙っていることは敗北主義に通じるものであることを考え、心ある人々と力を合わせて、真実なるものを見きわめ、私自身で私たちの生活の危険を防ぐことを考え合い、ひいては世界平和に貢献する努力を重ねて行きたいものと思います。

 今、啄木祭に集られた皆さまに、この気持をまごころを以てお伝えすると共に、真実の歌声をかかげて進まれる皆さまに、重ねて敬意と親愛の念を披歴するものであります。

「理窟の通らぬ理窟を押し通そうとする傾向」「今のような情勢の中では許されない」「黙っていることは敗北主義に通じる」といった強い言葉がならんでいる。

posted by 松村正直 at 07:13| Comment(0) | 高安国世 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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